手軽なUSBメモリーですが注意が必要です

◆油断大敵! USBメモリーは最も短命な記録メディア!!
現在よく使用されている外部記録メディアと言えば「USBメモリー」 ではないかと思います。親指程度の小さなサイズに、数十ギガバイトものデータを保存出来るのですから、これほど便利な記録メディアは他にないと思います。

◆万能メディアにも弱点が.. 実際の寿命は、5年から10年程度
ところが、USBメモリーには一つ大きな弱点があります。それは、寿命が予想外に短いということです。その平均寿命は、通常使用で約5年から10年。海外製のノーブランド品だと、買って数ヵ月で壊れることさえあります。そうとは知らずに大切なデータを長期間保存していると「ある日突然、データが全て消えてなくなった..」 ということにもなりかねません。

USBメモリーの構造

寿命が短い理由はデータを保存するのに使われている 「フラッシュメモリー」 と呼ばれる半導体のチップが使う度に少しずつ劣化するからです。このフラッシュメモリーは、USBメモリーの他、SDカードやCFカードのようなデジカメ用のメモリーや、パソコン内蔵用のSSDでも使われています。これらはUSBメモリーと基本的に同じような耐用年数になるのではないかと思います。

◆短命はフラッシュメモリーの宿命! 内部構造にその原因が..
厳密に言うと、フラッシュメモリーの寿命には2通りあり、「書き換え可能回数」が約5,000回、または、「データ保持期間」が約5〜10年ということです。なぜ2種類の寿命があるのでしょうか。話しは少し難しくなりますが、USBメモリーを例に大まかに説明いたしますと..

USBメモリーのデータはフラッシュメモリー(メモリーチップ)に保存され、その内部には 「セル」 と呼ばれる記録素子が縦横に整然と並んでいます。

セルの内部は、「シリコン基板」 「浮遊ゲート」 「制御ゲート」 の3つの部品で構成されており、電流を流すとシリコン基板端の 「ソース」(源流)から、反対側の 「ドレイン」(排水口)に向かって電子が流れ、この電子の流れを上部の制御ゲートと浮遊ゲートがコントロールします。

この3つの要素で、特に重要な役割を果たしているのが真ん中の浮遊ゲートで、これは 「電子を閉じ込める箱」 のような存在です。周囲は絶縁体(シリコン酸化膜)で覆われており、高電圧をかけたときだけ電子が出入りできる構造になっています。つまり、一度この部屋に入った電子は、外から電圧をかけない限り、ずっと内部に閉じ込められたままになります。

パソコンは、浮遊ゲートに電子が閉じ込められた状態を 「0」、浮遊ゲートから電子が放出された状態を 「1」 として、データを記録します。ポイントは、パソコンの電源を切っても、浮遊ゲート内の電子が簡単に外に流出しないことで、フラッシュメモリーのデータが消えないのは、この浮遊ゲートのおかげなのです。

◆泣き所は「浮遊ゲート」の劣化。数千回の書き込みで寿命が..
しかし、この浮遊ゲートには弱点があります。それは、データの書き換えを繰り返すと次第に劣化してしまうということです。前述の通り、セルにデータを記録するたびに浮遊ゲートには高電圧がかかり、このとき、周囲の絶縁体がわずかながら劣化してしまい、さらに書き込みや消去を繰り返すうちに劣化は進み、最後は浮遊ゲートから次々に電子が漏れ出す現象が起きます。こうなると、もはやフラッシュメモリーのデータは正しく読み書き出来ません。これが、フラッシュメモリーに 「書き換え回数の制限」 がある理由です。例えば、書き換え可能回数が5,000回なら、同じセルを約5,000回書き換えたあたりで、浮遊ゲートが劣化して使用不能になります。

また、フラッシュメモリーのデータ書き換えプロセスは複雑で、他の記録メディアより書き換え回数が多くなるという特性もあります。例えば、記録済みの領域(ページ)にデータを上書きするときは、その部分だけでなく、その周囲を含めた広範囲の領域(ブロック)を一端すべて消してから、もう一度書き込まなくてはならず、その分、HDDと比べると書き換え回数が増えてしまいます。これも寿命を縮める要因です。

フラッシュメモリーは、数百から数千のセルをまとめた「ページ」、数十から数百のページをまとめた「ブロック」の2種類の単位で構成されており、読み書きはページ単位、消去はブロック単位で処理します。

◆全てのセルで均等に仕事をする「分散書き込み」
ここまでの内容では、「USBメモリーは、あっという間にダメになるのではないか..」と心配になるかもしれませんが、単純に考えると1日に20回書き換えたら1年も持たずに使えなくなりそうですが、そこまで短命ではありません。理由は、リスクを軽減するために、フラッシュメモリーは 「分散書き込み」 という仕組みを備えているからです。

これは、特定のセルを酷使せず、すべてのセルに均等に仕事をさせ、全体の寿命を延ばそうという考え方です。何しろ、一つのフラッシュメモリーには数十億個ものセルが存在しますので、これほどの数があれば、たとえ個々の寿命が短くても、均等に書き込みをすることで全体の寿命を飛躍的に延ばすことが出来ます。

この分散書き込みを実行しているのが 「制御チップ」(コントローラー、またはコントロールチップ)という部品です。例えば、Windows上でエクセルのファイルを上書き保存したとすると、この時、Windowsはフラッシュメモリーの制御チップに対して 「上書き前と同じ場所に保存せよ」 と指示することが多いのです。しかし、制御チップはその指示には従わず、書き換え回数の少ない領域を見つけ出し、そこにデータを記録します。その上で、Windowsの指示番地と、実際の格納場所をセットで記録し、こうして1ヶ所に書き換えが集中するのを防ぎ、なるべく多くのセルに均等に書き込む工夫をしております。

◆落下などの物理的破損にもご注意!!
USBメモリーの寿命が5〜10年程度と知って驚いた方も多いかもしれませんが、実際には寿命が来る前に、使用中の不注意などによって故障したり、紛失したりするケースも多いようです。弊社にデータ復旧依頼があるUSBメモリーのうち実は約3割以上が使用上の不注意などによりコネクターや基板が破損して物理的に動作しなくなったケースです。しかし、物理的な故障の場合でもデータが保存されているメモリーチップ自体が破損していることはほとんどなく、フラッシュメモリー専用データ復旧設備を使いこなすことによって、データを救出してパターンを解析し、大切なデータを復旧させることが可能です。

◆「静電気」に弱いフラッシュメモリー
また、さらに気を付けなければならないことは、「静電気」 に対して非常に弱い ということです。人の体に帯電した静電気が金属端子を経由してフラッシュメモリーの内部に伝わり、瞬間的に高電流が流れることにより制御チップまたはその周辺回路を破損してしまいます。静電気は、例えば寒い時期に暖房を入れて空気が乾いた(湿度が低い)状況などに起きやすいものですが、帯電しやすい人とそうでない人がいたり、同じ人でも着用している衣類の素材とその組み合わせなどにより、発生条件には差はあります。(セーターを脱ぐとき、パチパチ・・となる状況が静電気による影響です)

夜、暗くなった場所で、車のドアを開けようとドアノブを触った瞬間、静電気がバチッと発生して「光」が見えた・・という経験をされたことがある方は、その光景を思い出すと、それによってあの小さな精密部品が一杯詰ったUSBメモリーが壊れてもおかしくはない・・ということは容易に想像が出来ることと思います。(瞬間的にかなりの高圧電流が流れます)

回避方法ですが、パソコンやUSBメモリーに触る前に何か他の金属に触って、体に帯電した静電気を逃す(放電する)ということが一番簡単な解決方法です。

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